若い女性が地方から都市部に流出している。各種調査では、「仕事」「進学」が理由の多くを占めているが、単純にそれだけでは片付けられない事情があるようだ。
子どもからチャンス奪うかも 葛藤の末…
いちど飛び出した地元に戻ってきた三島慶子さん(31)は山あいにある岐阜県郡上市(旧高鷲村)で育った。大学の進学先として選んだ名古屋市で就職。出産を経て地元に戻ったのは27歳のとき。夫と別れ、2人の幼子を抱えていた。
帰ってきたくなかった。
子どもの習い事を考えてみても、名古屋なら英語にプログラミングと何でもある。「田舎」に帰ることは、子どもからチャンスを奪うことのような気がした。でも母親に「1人で子ども2人の面倒を見るのは無理や」と言われると、強くは言い返せなかった。
地元での生活は、職探しから始まった。
高鷲の町に多くあるゲレンデやキャンプ場で仕事を探したが「土日に入れない人は……」と2件続けて断られた。育児のことを考え、時間の融通がきくパートを探した。
ほかにも働き口はあった。でも、育児と希望の職の両立をめざすと、選択肢は少なかった。母親が経営するコンビニで働きながら、フリーランスで広報の仕事を始めた。
戸惑ったのは、職探しだけではなかった。
「仕事休めないんですか」
「子持ちのお母さんはパート…